貯水槽清掃の手順!管理者必見の衛生対策と選び方

​​貯水槽の清掃、いつ・どのように実施すべきか迷っていませんか。

特に10トン未満の小規模な貯水槽は、水道法の法的義務から外れるため、多くの管理者やオーナーが清掃の必要性を見落としがちです。しかし、受水槽や高置水槽に汚れがたまると、水質の悪化や残留塩素の減少、さらには衛生課や保健所からの指摘に発展するケースもあるのです。実際、戸建てや小規模アパートなどで断水や給水設備トラブルが起きた事例は少なくありません。

清掃を怠ったことで施設の利用者に健康被害や生活トラブルが発生し、最終的に高額な修繕費や損害賠償につながったケースも報告されています。たとえ法律上の義務がなくとも、定期的な点検や衛生管理は「安全な飲料水供給」という本質を守る上で欠かせない取り組みです。

この記事では、貯水槽清掃の基礎から、費用を抑えつつも信頼できる業者依頼の方法、さらには実際に行われた清掃事例や断水を避けた施工例まで、具体的にわかりやすく解説していきます。

最後まで読むと、「うちは義務外だから大丈夫」と思っていた管理者こそ見落としがちなリスクと、手間なく清掃を実施する判断基準が手に入ります。安心で衛生的な水環境を維持するために、今こそ正しい管理の第一歩を踏み出しましょう。

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目次

貯水槽清掃とは何か?定義と目的をわかりやすく解説

貯水槽の仕組みと種類(受水槽・高架水槽・加圧ポンプ方式)

貯水槽とは、建物内で使用される水道水を一時的に蓄える設備であり、ビルやマンション、工場など多くの施設に設置されています。これは水道本管からの給水を安定的に供給するための中継地点であり、水道本管の圧力や供給時間帯に左右されない安定的な水利用を可能にする重要な役割を担っています。主に以下の3つの種類に分類され、それぞれ構造や機能が異なります。

以下の表に、主な貯水槽の種類と特徴をまとめます。

種類名構造の特徴と設置場所主な用途と対象建物清掃の注意点
受水槽地上または地下に設置。水道本管からの水を一時的に貯水。マンション、ビル、公共施設など地下設置の場合は湿気や異物混入に注意
高架水槽建物の屋上に設置。受水槽から汲み上げて自然落下で給水。古い集合住宅や中小規模施設高所作業に伴う安全対策が必要
加圧ポンプ方式受水槽からポンプで各階へ直接給水。高架水槽は不要。現代の高層ビルや新築マンションポンプの劣化や停止時の対策が必要

受水槽は水道本管の圧力変動を吸収し、常時安定した給水を確保するための中核です。高架水槽は受水槽からくみ上げた水を重力で給水するため、万が一の停電時でも一定時間は給水可能というメリットがあります。一方で、加圧ポンプ方式は省スペースかつ効率的な給水が可能ですが、ポンプ故障時には給水不能となるリスクがあります。

また、各方式において構造や設置環境によって異物混入や藻の発生、虫の侵入、さらにはレジオネラ属菌などの衛生リスクも変化します。そのため、それぞれの構造特性を把握した上で、定期的な点検と清掃、部材交換などの維持管理が重要です。

さらに、近年では飲料水への安全性確保の観点から、タンク材質にFRP(繊維強化プラスチック)などの耐久性の高い素材が用いられる傾向がありますが、これも経年劣化や漏水リスクをゼロにするものではありません。

貯水槽の種類ごとに、管理者が把握すべき管理のポイントは異なり、清掃や点検の頻度、作業手順、チェック項目も異なります。貯水槽清掃を実施する業者も、このような仕組みの違いを理解して、施設に最適な対応が求められます。

なぜ貯水槽清掃が必要か?衛生リスクと事故事例

貯水槽は水道水を一時的にためる装置であるがゆえに、長期間にわたり清掃を怠ると水質の劣化や異物の混入、雑菌の繁殖といったリスクを伴います。中でも代表的なトラブルとして、レジオネラ菌や赤水の発生、カビ臭や腐敗臭の混入、さらには虫やネズミの侵入などが報告されています。

レジオネラ菌は自然界に存在する細菌であり、貯水槽内部にたまった汚れやぬめり、水温の上昇などをきっかけに増殖します。とくに、夏場や通気の悪い地下に設置された受水槽での発生が多く、感染によるレジオネラ症(肺炎型)は重症化すれば命にかかわることもあります。

清掃を怠ったことで起きた実際のトラブル例を以下に示します。

事例番号発生場所トラブル内容原因
1マンション地下受水槽赤水が各家庭の蛇口から出たタンク内のサビ蓄積と水質劣化
2中学校の高架水槽水からカビ臭、味が変カビや藻の発生、天井からの雨漏り
3老人ホーム入所者の複数名がレジオネラ症を発症長期間清掃未実施と残留塩素の減少
4公共施設タンク内でネズミの死骸が発見されたタンクふたの損傷と密閉不良

これらのトラブルは、定期的な清掃と点検、蓋や通気口の密閉管理、残留塩素の適切な維持などにより防げた可能性が高く、結果的に行政処分や損害賠償請求に発展したケースもあります。

また、水の濁りや異臭、蛇口のつまりといった初期症状を軽視すると、清掃では対応できない設備劣化にまで進行し、高額な修繕費や長期の断水リスクを伴います。とくにマンションや施設では、利用者からの信頼失墜に直結します。

よって、貯水槽清掃は単なる汚れの除去ではなく、水質の安全・衛生管理を徹底し、居住者や利用者の健康を守るための「予防措置」であることを忘れてはなりません。

水道法や建築物衛生法における義務と管理責任

貯水槽清掃は単なるメンテナンスではなく、法律に基づく義務です。特に水道法と建築物衛生法の2つの法律により、施設管理者や所有者には定期的な清掃と点検、水質検査の実施が求められています。

水道法第34条の2では、簡易専用水道(有効容量が10立方メートルを超える受水槽)を設置している建築物に対して、「年1回以上の清掃」「定期的な水質検査」の義務が明記されています。また、水道法施行規則では、清掃の記録を保管し、保健所への提出を求められる場合もあります。

加えて、建築物衛生法では「特定建築物」に該当する建物(一定規模以上のビルや学校など)について、厚生労働大臣登録の清掃業者による専門的な作業が求められます。

以下に、貯水槽清掃に関係する法律義務の要点を表に整理します。

法律名主な対象義務内容根拠となる条文
水道法容量10立方メートル超の受水槽年1回以上の清掃、水質検査、記録の保存水道法第34条の2、水道法施行規則第55条
建築物衛生法特定建築物(3000㎡超の施設等)登録業者による清掃、空気環境・給水の衛生確保建築物衛生法第12条、第4条

これらの法令は、飲料水の安全を担保するために制定されており、違反があった場合は改善命令や営業停止といった行政処分が下されることもあります。特に不特定多数が利用するビルや施設では、衛生事故が社会的信頼の損失につながり、重大な経済的損失を生む可能性もあります。

なお、清掃を委託する業者は「建築物飲料水貯水槽清掃業」として自治体への登録が必要です。この登録業者でなければ、法令に基づく清掃業務を請け負うことはできません。

10t未満の小規模貯水槽にも必要な理由とは?

容量が10立方メートル未満の小規模貯水槽は、法的には簡易専用水道に該当せず、水道法上の定期清掃義務は課されていません。しかし、だからといって清掃が不要というわけではなく、実際には保健所や自治体からの指導・助言により「年1回程度の定期清掃」が推奨されています。

理由は主に次の4点に集約されます。

  1. 法的義務がなくても衛生リスクは変わらない
  2. 汚れが沈殿しやすく、雑菌や虫の発生源になる
  3. 入居者や利用者からのクレームに直結する
  4. 不衛生状態の放置で修繕・交換費用が高騰する

とくにアパートや小規模マンションでは、費用を惜しんで数年清掃を怠ると、水の味や色の変化に敏感な住民からの苦情が寄せられ、契約解除や悪評の拡散にもつながります。

以下に、10t未満の貯水槽でも清掃を推奨する理由とその背景を示します。

清掃推奨理由説明内容
利用者の安全確保小規模でも赤水や異臭、雑菌の繁殖は発生する可能性がある
設備の劣化防止清掃を怠るとサビやスライムが内部を侵食し、配管詰まりの原因に
物件の資産価値維持定期管理をしていない建物は入居率や査定に悪影響を及ぼす
地域の行政指導一部自治体では小規模貯水槽でも実質的に清掃記録提出を求める
保険・補償の問題回避衛生事故の際、定期清掃未実施だと保険金支払いが拒否される可能性

10t未満であっても、貯水槽の構造や周辺環境によっては虫の侵入や藻の繁殖、ゴミの沈殿が起こりやすくなります。清掃を行っていないことで水質悪化が進行し、タンクの交換が必要となるケースも見受けられます。

したがって、法的義務の有無ではなく、「衛生を保つための実務的対策」として、小規模な貯水槽においても清掃を定期的に実施することが強く推奨されます。飲料水の品質を守るためには、規模に関係なく意識の高い維持管理が必要です。

貯水槽清掃の法令・義務と頻度

簡易専用水道とは?10㎥以上の受水槽に義務化される項目

簡易専用水道とは、ビルやマンション、商業施設などで設置されている受水槽のうち、10立方メートル(10㎥)以上の容量を持ち、水道水をいったん貯めてから各部に供給する方式の設備を指します。法律上の定義は「水道法施行規則第55条の2」に明記されており、飲料水の衛生確保と供給安全を目的に、保健所への届出や定期的な点検・清掃などの管理義務が課せられます。

この制度が設けられた背景には、貯水槽が不適切に管理されたことで起きた水質悪化や衛生トラブルの増加があります。受水槽内に汚れが蓄積すると、レジオネラ属菌や赤水、カビ、異臭、さらには虫や小動物の混入といった重大な問題に繋がります。したがって、10㎥以上の受水槽には、使用者の安全を守るために以下のような管理義務が課されます。

簡易専用水道に該当する設備の要件

要件項目内容説明
対象の水槽有効容量が10㎥以上の受水槽
対象施設ビル・マンション・商業施設・病院・学校など
水源基本的には水道水を使用
給水方式受水槽からポンプで各階や部屋に供給
設置・維持管理者建物の所有者・管理会社・マンション管理組合等
届出先所轄の保健所(設置・変更時に届出が必要)

簡易専用水道としての届け出が必要になると、以下の管理義務が生じます。

義務内容一覧

  1. 年1回以上の清掃実施(水槽内部の清掃および消毒)
  2. 水質検査の実施(残留塩素・大腸菌などの基準を確認)
  3. 管理状況の記録・保存(点検・清掃の履歴を3年間以上保存)
  4. 異常時の迅速な対応(断水・赤水・異臭など発生時は直ちに措置)

また、貯水槽清掃は、厚生労働省や各自治体のガイドラインに基づき「建築物飲料水貯水槽清掃業登録業者」へ委託することが推奨されています。無資格者による清掃や消毒は、水質悪化や事故のリスクが高まるため、専門知識と技術を有する登録業者を選ぶことが重要です。

保健所への報告義務と提出すべき報告書の内容

貯水槽の清掃を実施した後、管理者には保健所へ報告を行う法的義務が発生するケースがあります。特に「簡易専用水道」として届け出られている施設については、清掃実施後の報告書提出が必要とされており、その内容や提出時期を誤ると行政指導の対象となる恐れがあります。ここでは報告義務の詳細と、提出すべき書類内容、注意点について解説します。

まず、簡易専用水道における報告義務は、「水道法第34条の2」に基づいており、保健所が定める定期点検・清掃の実施報告を提出する必要があります。報告は主に「定期検査結果報告書」や「貯水槽清掃報告書」として提出されるもので、施設の所在地を管轄する保健所が提出先となります。

提出すべき代表的な報告書と記載内容

提出書類名称主な記載項目備考
定期検査結果報告書水槽容量、検査日、実施者、残留塩素、外観、異常有無など年1回以上提出が必要
清掃実施報告書清掃日、作業内容、使用薬剤、担当業者名、清掃前後の写真など保健所によって様式が異なる場合あり
水質検査結果報告書大腸菌・一般細菌・塩素濃度等の測定結果専門業者に委託して取得することが多い

これらの報告書は、専門業者による清掃後に発行されることが一般的です。清掃業者が「建築物飲料水貯水槽清掃業」として登録されている場合は、行政が求める基準に沿った報告書を発行できるため、報告書の信頼性も担保されます。

報告書作成時の注意点

  1. 実施日と提出日の整合性
    • 清掃日から報告までの間隔が空くと、信頼性が低下します。速やかに提出しましょう。
  2. 写真記録の添付
    • 作業前後の状態を写真で残すことで、衛生管理の証明になります。
  3. 複写・保存の徹底
    • 報告書は控えを3年以上保管し、後日のトラブルに備えることが望ましいです。
  4. 書類の形式と様式に地域差あり
    • 一部自治体では独自の報告様式を採用しているため、事前確認が重要です。

また、報告書提出の有無や内容は、管理者の信頼性や建物の資産価値にも影響します。定期報告を怠ることで「行政指導」や「施設名の公表」といったリスクが生じるケースもあるため、対応は慎重に行う必要があります。

行政報告を適切に行うことは、建物利用者の安全と安心を確保する上で欠かせない重要なプロセスです。義務の範囲を正しく理解し、毎年確実に報告できる体制を整えることが、管理者としての責務といえるでしょう。

貯水槽清掃の手順と方法で徹底解説

事前準備!設備確認・断水スケジュール・養生作業

貯水槽清掃をスムーズかつ安全に進めるためには、作業前の事前準備が非常に重要です。特に受水槽や高架水槽といった給水設備の構造や設置状況を的確に把握し、断水の影響を最小限に抑える段取りを整えることが求められます。本項では、清掃作業の前段階として欠かせない「設備確認」「断水スケジュールの通知」「養生作業」について詳しく解説します。

まずは設備確認です。清掃対象となる貯水槽には「10t未満の小規模貯水槽水道」や「簡易専用水道」に該当するものがあり、構造や容量によって必要な手順や法律上の義務が異なります。例えば、建築物飲料水貯水槽清掃業として登録されている業者でないと対応できない構造の水槽もあるため、施設の種類や設置環境を踏まえた事前の確認が不可欠です。また、給水ポンプやバルブ、通気口の位置、非常用水槽との接続状況もチェックしておくことで、断水トラブルの防止につながります。

次に、断水スケジュールの調整と住民や利用者への周知が必要です。断水作業は通常、数時間から半日程度を要するため、建物の管理者はテナントや居住者に事前に通知を出す義務があります。特にマンションやビル、公共施設では「断水時間」「トイレの使用可否」「給水再開予定」などの具体的な情報を明記し、トラブルや苦情を未然に防ぐことが重要です。実際には以下のような断水案内が配布されることが多いです。

断水通知の例

通知項目内容例
実施日時2025年6月10日(火) 9:00〜13:00
断水対象エリア○○マンション全戸(1階〜8階)
使用不可設備蛇口全般、トイレ、浴室シャワー、水道水
注意事項前日夜までに必要な水を確保してください
緊急連絡先○○管理会社 TEL:0123-456-789

さらに、作業現場では設備保護と安全確保のための養生作業も欠かせません。養生とは、作業によって傷つきやすい部分を保護する処置を指し、水槽の出入口周辺、ポンプ室、廊下などにブルーシートを敷いたり、コーンやバリケードで作業エリアを明示したりします。これにより汚損や滑落事故の防止が図られ、清掃業者にとっても効率的な作業環境が整います。

準備段階のチェックリスト(リスト形式)

  • 水槽の容量・構造の確認(例…10m3未満か10m3以上か)
  • 給水設備(ポンプ・バルブ・高架水槽)の点検
  • 断水スケジュールの作成と住民周知の実施
  • 養生資材(シート・コーン・養生テープ)の準備
  • 貯水槽清掃作業監督者の立ち合い調整
  • 緊急時の連絡体制の確立(例…水道局、保健所)

このように、清掃作業の成功には「見えない準備」が極めて重要です。事前に適切な準備を行うことで、貯水槽清掃は安全かつ円滑に実施でき、再発防止や衛生管理の観点からも大きな意味を持ちます。

排水から洗浄、消毒までの具体的な作業工程

貯水槽清掃の中心となる作業工程は、「排水」「内部洗浄」「消毒」の3段階で構成されており、それぞれに専門性と衛生基準が求められます。清掃業者による対応でも、この工程が最も時間と技術を要するため、十分な理解と準備が重要です。

まず、排水工程では貯水槽内部の水をすべて抜き取る作業が行われます。排水作業はポンプや重力排水によって実施され、排水経路を事前に確認しておかないと汚水が逆流したり、近隣施設に悪影響を及ぼすリスクもあります。排水後は水槽内部が露出するため、残留水の除去や底部の異物チェックも欠かせません。

続いて洗浄工程です。洗浄には「高圧洗浄機」「中性洗剤」「ナイロンブラシ」などが使われ、タンク内部の壁面・底面・天井部に付着したスライムや鉄サビ、沈殿物などを徹底的に除去します。特に受水槽のような密閉構造では通気口のカビや水垢がたまりやすいため、細部まで目視で確認しながら清掃する必要があります。また、タンクの内側を傷つけないよう、材質ごとの洗浄方法を選ぶ点も専門知識が求められるポイントです。

洗浄に使われる主要器具

使用機材主な用途と特徴
高圧洗浄機壁面の付着物・スライムの剥離
中性洗剤水質への影響が少ない洗剤。油分や汚れを分解
ナイロンブラシ細部やコーナー部の手洗いに使用
吸水ポンプ排水後の水たまりや洗浄水の回収
照明・点検ミラー視界が暗くなりやすい箇所の点検に使用

洗浄後に行うのが消毒作業です。消毒では、水道法に基づき次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素系薬剤が使用されます。水槽内全面に消毒液を噴霧または塗布し、一定時間放置することで殺菌効果を発揮します。厚生労働省のガイドラインでは、使用する薬剤の濃度や接触時間についても細かく定められており、管理者はその基準に沿った作業を求められます。

消毒後には再度清水で十分にすすぎ、薬剤の残留がないことを確認します。特にマンションや小規模施設では、使用再開時に消毒臭が残らないよう、すすぎ水の回収や通水試験も丁寧に行う必要があります。

作業工程の流れ

  1. 貯水槽の完全排水と底部の残水除去
  2. 内部洗浄(高圧洗浄+手洗い)
  3. 蓋・ハッチ・通気口のカビや異物清掃
  4. 消毒剤による全面消毒
  5. 時間を置いて薬剤効果を定着(10〜30分程度)
  6. 再度清水で十分にすすぐ
  7. 作業記録の作成・写真撮影(清掃証明)

これらの工程をすべて丁寧に実施することが、衛生的な水道水の供給とトラブルの未然防止につながります。とくに10m3以上の受水槽では、清掃後に保健所へ報告する義務があるケースもあり、法令遵守と記録管理も重要な責務です。

貯水槽清掃業者の選び方と注意点

選ぶべき業者の基準(資格・登録・作業実績)

貯水槽清掃を依頼する際、最も重要な判断基準となるのが業者の「資格」「登録状況」「実績」です。これらは単なる形式的な要素ではなく、水道法や建築物衛生法に基づいた法令遵守、安全な飲料水の供給、万が一のトラブル回避に直結するため、慎重な見極めが求められます。

まず、法律面で必要となるのが「建築物飲料水貯水槽清掃業」の登録です。この登録は都道府県知事によって認可される制度であり、厚生労働省の通達に基づいて、一定の衛生基準や作業基準を満たす業者のみが登録可能です。登録された業者は、登録証や登録番号を提示できるのが基本であり、これがない業者に依頼することは法令違反となる可能性があります。

加えて、作業を実施するスタッフが「貯水槽清掃作業監督者講習会」を修了し、必要な資格を有しているかどうかも確認が必要です。この講習は一般社団法人全国ビルメンテナンス協会などが主催しており、水質管理・消毒方法・水道法の知識・緊急対応など、現場で求められる実務知識を体系的に学ぶ内容となっています。講習の修了証は作業時の提示が可能なため、現地確認時に見ることも可能です。

また、業者の信頼性を裏付けるポイントとして「実績」が挙げられます。例えば、年間対応件数が多い業者や、マンション・ビル・商業施設・公共施設など多種多様な建物で清掃を行っている業者は、清掃対象や設備ごとの構造を熟知している傾向があり、柔軟な対応が可能です。

実績を確認する際は、以下の観点で評価するとよいでしょう。

・過去に清掃対応した建物の種類(マンション・アパート・一戸建て・ビル・施設など)
・設置容量(例…10t未満の小規模貯水槽、10t以上の受水槽など)への対応経験
・緊急時対応(断水が発生した場合や水質異常発生時のサポート)
・地域実績(地域の水道特性や条例への理解)

以下に、信頼できる貯水槽清掃業者の判断材料をまとめたチェック表を掲載します。

信頼できる業者を見極めるための確認表

チェック項目確認ポイント
登録状況建築物飲料水貯水槽清掃業の登録証の提示
所有資格貯水槽清掃作業監督者講習修了証の有無
年間実績年間の清掃件数(100件以上が目安)
建物対応マンション・戸建て・公共施設などの実績
緊急対応力給水停止・水質異常などへの迅速対応経験
地域対応対応エリアの水道事情に詳しいか

これらの基準をすべて満たしている業者であれば、清掃品質はもちろん、点検や水質検査の正確性、安全対策まで総合的に信頼できるといえます。特に、一戸建てなどの小規模な建物でも「小規模貯水槽水道」として管理が必要になるケースがあるため、個人でも専門業者の見極めが欠かせません。

なお、実際に依頼を検討する前には、業者のウェブサイトで「保健所登録済み」「水質検査対応可能」「残留塩素チェック込み」「断水対応の可否」などを事前に確認することで、依頼後のトラブルを回避できます。

依頼時に確認すべき項目と見積もり依頼時の質問例

貯水槽清掃を業者に依頼する際、適切な情報収集と事前確認は、後悔のない業者選びのために欠かせません。見積もりや相談の段階で、何をどう聞くかによって、業者の対応力・誠実さ・専門性が浮き彫りになります。ここでは、依頼前にチェックすべき重要ポイントと、見積もり依頼時に活用できる質問例を具体的に解説します。

まず基本的な確認項目として、以下の事項が重要です。

依頼時に確認すべき基本項目

・対応可能な清掃対象(受水槽のみか、高置水槽・加圧給水ポンプまで含むか)
・作業時間帯の柔軟性(夜間や休日対応の可否)
・断水の有無と対応策(マンション・ビルでは断水時間の事前通知が必要)
・水質検査の範囲(残留塩素・大腸菌・一般細菌の検査が含まれるか)
・使用する洗剤や消毒液(法令に準じた成分か、作業手順書に明示されているか)
・アフター対応(清掃後のトラブル対応や再検査の保証制度があるか)
・法定報告書の作成(保健所への報告書作成代行の有無)

さらに、実際に見積もりを依頼する際には、業者の信頼性を見極めるための質問を投げかけることが有効です。以下に、目的別に質問例を整理しました。

見積もり依頼時の質問例

質問カテゴリ質問例
登録・資格確認貴社は建築物飲料水貯水槽清掃業として登録されていますか? 登録番号を教えてください。
作業体制作業にあたるスタッフは貯水槽清掃作業監督者の資格を持っていますか? 作業人数は何名ですか?
使用薬剤清掃時に使用する洗浄剤・消毒液の種類と成分を教えてください。残留リスクはありますか?
作業内容の明示貯水槽の内部清掃・水質検査・消毒・目視点検はすべて含まれていますか? 手順書はありますか?
所要時間標準的な貯水槽(10t未満)での作業時間はどのくらいかかりますか?
アフター対応清掃後の水質異常があった場合、再清掃や再検査は無料対応ですか?
見積もり内訳見積もりに含まれる費用項目をすべて教えてください。追加料金が発生するケースは何ですか?
地域対応当方(例…東京都板橋区)のエリアは対応範囲ですか? 他の対応エリアも教えてください。

これらの質問は、単なる価格比較だけでなく、サービスの質や信頼性を見極める重要な材料となります。特に貯水槽清掃は、飲料水の安全性を左右するため、曖昧な回答をする業者や、説明を省略しようとする業者は避けるべきです。

また、清掃後には「清掃実施報告書」「水質検査成績表」などの提出が義務付けられており、これを提示できない業者は行政指導の対象となる恐れもあります。こうした書類の提出可否についても、必ず事前確認しておきましょう。

最近では、メールやウェブフォームでの見積もり依頼時に、これらの質問をテンプレート化して送る企業や自治体も増えています。以下に、テンプレート形式の問い合わせ文を紹介します。

問い合わせテンプレート(例)

「〇〇区内のマンションで貯水槽清掃を検討しています。下記の内容についてご回答をお願いできますでしょうか。

  1. 登録業者かどうか(登録証提示可否)
  2. 作業担当者の資格保有有無
  3. 水質検査の項目と実施内容
  4. 使用洗剤・消毒液の種類
  5. 清掃後の報告書提出について
  6. 作業時間と断水の有無
  7. お見積もりに含まれる内容と追加費用の条件
  8. 対応可能な日程(休日・夜間含む)
    お手数ですが、上記についてご回答いただければ幸いです。」

このように、あらかじめ聞くべき項目を明確にしておくことで、業者の比較がしやすくなり、後々のトラブル回避にもつながります。

まとめ

貯水槽清掃は、見落とされがちな小規模施設や戸建て住宅においても、実は極めて重要な衛生管理の一環です。特に10トン未満の受水槽は、水道法による法的義務の対象外であることから、「清掃しなくても問題ない」と誤解されがちですが、実際には給水設備の汚染や残留塩素の低下によって、飲料水の安全性が脅かされるリスクがあります。

環境衛生センターや保健所の指導事例では、定期的な点検と清掃を行っていなかったことにより、貯水槽内部のカビや異物の繁殖が進み、住民の健康被害につながった報告もあります。また、老朽化したポンプや排水管の故障を長期間放置することで、結果的に修理費が数十万円に膨れ上がるケースもあるため、放置による損失回避の観点からも、日常的な維持管理が求められます。

清掃を業者に依頼するか、自主点検で済ませるかの判断基準は、水槽の構造や利用者数、断水の有無などによって異なります。とくにアパートや共用住宅では、入居者への影響を最小限に抑える断水なし施工や夜間作業の対応も可能な業者を選定することが、円滑な管理体制につながります。

貯水槽清掃は「義務があるから行うもの」ではなく、「安心して水を使うために必要な管理行為」として捉えることが重要です。今こそ、見落とされがちな日常の水環境に目を向け、持続的に安全な生活を支えるための第一歩を踏み出しましょう。

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よくある質問

Q. 貯水槽清掃はどれくらいの頻度で行えばいいですか?
A. 水道法では簡易専用水道に該当する貯水槽、すなわち10立方メートル以上の受水槽には年1回以上の清掃が義務づけられています。一方、10立方メートル未満の小規模な水槽であっても、衛生管理の観点から同様に年1回の清掃が推奨されます。特に残留塩素の減少や赤水の発生など、利用者に直接影響する問題を防ぐためにも、定期的な維持管理と検査の併用が効果的です。

Q. 自分で貯水槽清掃を行うことは可能ですか?
A. 条件次第では可能です。構造がシンプルで容量が10立方メートル未満の小規模な水槽であれば、必要な道具や洗浄剤、消毒液を準備し、衛生課や保健所が推奨する手順に従うことで自主清掃は可能です。ただし、排水や断水の処理、安全管理、水質検査など専門性が求められる作業もあるため、異常が発生した際にすぐ対応できる知識がない場合や、マンション・アパートのように多数の利用者がいる建物では、プロの清掃業者に依頼するのが確実です。

Q. 清掃後に保健所へ報告は必要ですか?
A. 10立方メートル以上の受水槽が設置されている建物は、簡易専用水道として保健所への報告が義務づけられています。清掃を実施した場合、報告書や検査結果、水質のチェック内容をまとめて、保健所または指定された機関に提出する必要があります。提出期限や必要書類は地域によって異なるため、衛生管理の責任者や貯水槽清掃作業監督者が中心となって正確に対応することが重要です。報告を怠ると指導の対象となる場合もありますので注意が必要です。

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